東大院生ショータのなるほどアウトプット~バイオ研究者への道~

生物学系研究者を目指す大学院生のブログ。学びや気付きのアウトプットをしていきます。

なんで私が東大に~大学院入試の記録~

院試と進学先について、誰かの役に立つかもしれないので書いておこうと思います。

 

大学入学当初から外部の大学院に行きたいと思っていて、2年生の終わり頃から大学院見学や院試説明会に積極的に参加してきました。博士まで行くつもりなので5年間は行くラボだから色々見て決めようやという話です。

 

その中で最終的に進学先となったのは

東京大学大学院 新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻

というところです。

東大と名はつくものの学部とつながっていないので、ほとんど外部から来る人ばかりです。またキャンパスは千葉県の柏キャンパスになります。

 

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東京大学柏キャンパスの正門

今後ここを受ける人の参考になるかも、ということで簡単に院試を振り返りたいと思います。

 

選んだ経緯

漠然と生物の研究者になりたい気持ちだけありましたが色々なラボを見学していくうちに分野が定まってきました。大まかには

生物の研究がしたい

応用よりも基礎研究がしたい

進化や発生の分野に興味

扱う生物は昆虫だったら多分嫌にならない(元昆虫少年なので)

といった流れでした。でもってネットニュースでの研究成果の紹介を見て東大に新領域創成科学研究科という怪しい研究科があることを知り、自分がやりたい研究内容を扱っている研究室があったので5月に先端生命科学専攻の入試説明会&オープンラボに足を運びました。

 

感想としては

  • キャンパスがキレイ
  • 街がキレイ
  • やりたい研究ができそう
  • 先輩の学生さんと気が合いそう
  • 意欲のある学生が集まる環境
  • 研究環境が良い
  • 家賃が安い
  • 院試が難しくない
  • 東京が近いことの恩恵が多い
  • 授業は力を入れてそう(しんどそう?)

といった印象。良い研究環境を得られることと院試に受かる可能性の高さ、最後は直感でここを第一選択肢に決めました。

 

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写真右が先端生命科学専攻の入る生命棟

 

 

受験戦略

以下、あくまで僕が受験した先端生命科学専攻の平成31年修士課程一般入試について書いています。最新情報は専攻のホームページで確認してください。

 

 

筆記試験では専門基礎として高校生物から大学教養レベルの広い範囲の生命科学の知識や基本的な考え方に加えて、小論文で思考力や表現力が問われます。

また英語はTOEFL-ITPをその場で受験する方式で、TOEFLTOEICのスコアシートを提出することはできません。

面接では現在行っている卒論研究に対する理解度と、志望研究室の研究内容の理解が問われます。

 

 

受験戦略はラボ見学のとき先輩の学生の皆さんから色々教えてもらった情報をもとにしました。

・専門科目

 東大出版会から出ている『理系総合のための生命科学を中心テキストとして,専攻ホームページで公開されている過去問を解きながら問われやすい分野を重点的に理解。浅く広くが基本ですがアミノ酸が毎年出ているとか、細胞骨格がやたら出やすいとか重点分野はある程度限られていますので1冊丸暗記する必要はないかと。学融合を標榜している以上あまり細かい知識は重視されません。ちなみに過去問の解答はありませんし解答集を持っている先輩もいないと思います。正誤よりもどのようなレベルの問題がどのような形で出されているかに注目して勉強すればOKです。

 

・小論文

 文章を読んでそれに対する自分の考えを書く出題形式です。そんなに差がつくところではないと思い正直僕は全然対策しませんでした...本番は出たとこ勝負で、とにかく埋めるという感じでいいのではと思います。論理が甘くてもとりあえず自分の主張を伝える文章になるよう意識しました。

 

・英語

TOEFL-ITPは、留学などに使われる4技能のTOEFL-iBTテストと違いリスニングとリーディングのみのペーパーテストです。イメージとしてはTOEICの内容がアカデミックになった版ですかね。リスニング、文法、リーディング、単語力それぞれ対策本がたくさん出ていますので勉強にかけられる時間や今の質力を考慮してあったものを選べばいいと思います。ちなみに先輩方の間では『全問正解するTOEFL ITP TEST文法問題対策』が高評価でした。文法セクションで素早く正解を見つけるコツが満載の本なので手っ取り早い得点アップにはもってこいだと思います。

 

 

・面接(口述試験

面接は1人15分で、一人ずつ部屋に呼ばれます。部屋に入ると教授が6人ぐらい?ズラッと並んでいてその向かいに座り、現在取り組んでいる卒業研究について1~2分で説明を求められました。それに対する質問やツッコミに答えていくというのが前半で、後半は志望研究室で行われている研究を自分で説明したり志望理由を述べたりといった流れでした。質問内容は研究分野に対する細かい知識よりも、研究の進め方に対してどこまで自分で考えているかを問うものが多かった印象です。どの面接官と当たるかにもよるでしょうから何とも言えませんが、重箱の隅をつつくようなイジワルな質問はされませんでした。

卒論研究の分野やテーマの基本知識はもちろんですが、その研究の目的は何か、なぜその手法を選んだか、他にどのようなアプローチが考えられるか、予想される結果はどんなものかなど研究の進め方に関してもきちんと説明できるよう想定問答集を作っておくと有効かと。

 

 入学後配属について

 先端生命科学専攻の大きな特徴として入学後配属というものがあります。これは院試の時点では特定の研究室を志望せず、入学後に各研究室の先生からお話を聞いたりラボを見学してから配属研究室を決めるというものです。院試の志望配属とは別に定員が設けられており、入学後配属を選んでもすべての研究室へ配属可能になっています。研究室や先生との相性がその後の研究生活を決定的に左右するので、色々な先生とじっくりコミュニケーションを取ってから配属を決めることができるというのはなかなか良い制度だと思います。

 

 

 先端生命科学専攻の実質的な合格率は受験人数に関わらずほぼ7割と言われており、競争相手はほとんど外部からの受験者。東大ワンチャン的なノリの人も含まれているような気がしたのでしっかり対策して臨めば大丈夫でしょう。あんまり言うとアレですが、公式に東大を名乗る方法としては相当コスパいいと思います(笑)

  

ちなみに僕の学年は学部も東大の人は2人だけで、東京理科大学横浜市立大学名古屋大学北海道大学早稲田大学鳥取大学などなど本当に色々な大学出身の方が集まっています。あとは中国人留学生が3分の1くらの勢力になっており、近年急激に増えているそうです。人間やはり身を置く環境次第で成長も違ってくると思うので、色々なバックグラウンドを持つ人が集まる多様性に富んだ環境で切磋琢磨できることは楽しみです。

 

まさか自分が東大生になるとは思ってもみませんでした。世間一般でイメージされる東大とは結構違いますが、研究に入ってしまえば学部がどこかは関係ありません。東大の豊富なリソースやサポートにアクセスできる環境に感謝しつつ、院生生活を自分なりにenjoyしていきたいです!

 

P.S.

実体験に基づく他大学院進学のメリットとデメリットをまとめました!こちらも合わせてお読みください。

 

www.shota-output.work

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