東大院生ショータのなるほどアウトプット~バイオ研究者への道~

生物学系研究者を目指す大学院生のブログ。学びや気付きのアウトプットをしていきます。

モノとしての本、体験としての読書ーミシマ社・三島邦弘さんとスロウな本屋・小倉さんに学ぶ本との向き合い方

はじめまして、Shota.と申します。初めてブログを投稿します。自己紹介はおいおい記事にしていきます。

 

さて、2月8日に岡山大学文学部主催の講演会「出版の現在、人文学の未来~『本を作り、届ける』という仕事~」に参加しました。

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ポスター画像にもありますが、講演者は次のお二人。

三島 邦弘 みしま くにひろ
 大手出版社2社をへて、2006年10月、株式会社ミシマ社を単身設立。原点回帰の出版社を掲げ、一冊入魂の出版活動をつづける。現在、東京・自由が丘と京都の2拠点で活動中。近年は、単行本だけでなく、ウェブ雑誌「みんなのミシマガジン」をはじめ、シリーズ「コーヒーと1冊」、雑誌『ちゃぶ台』など、ユニークな情報発信、本づくりを手がける。

小倉 みゆき おぐら みゆき
 東京で洋書店や子どもの本専門店の書店員を経験したあと、岡山に帰郷。大型書店に勤めながら古民家をみずから改装して開店準備を進め、2015年4月に岡山市北区南方に「ゆっくりを愉しむ」をコンセプトにした「スロウな本屋」をオープン。絵本のワークショップや子ども副店長による特別企画など、「ひと、モノ、こと」がつながる本屋づくりにとりくむ。

(引用元:岡山大学文学部主催講演会(シリーズ「仕事を知る」)「出版の現在、人文学の未来~「本を作り、届ける」という仕事~」開催のご案内)

 大手出版社と大型書店の牛耳る出版業界に疑問を抱き、「この本を読者に届けたい!」という理想を自ら実現させている。その情熱に終始圧倒されていました。この講演会で得た気づきは次のようなものです。

 

1.本には作り手の情熱がこもっている

今まで著者だけしか本の作り手として意識したことがありませんでした。しかし、実際には著者以外にも多くの人が携わって本は作られます。作家と苦しみを共有する編集者はもちろん、装丁や帯の文句を考える人だっているでしょうし、本と読者を繋ぐ書店員さんも重要です。

 

僕の最近の本の買い方といえばもっぱらアマゾンでした。欲しい本があればポチっとボタンを押すだけ。kindle版があればダウンロード。これでは、作り手側のメッセージを十分受け取れません。大いに反省しました。

 

 

2.電子書籍が失っているものは大きい

先程の話とも共通しますが、紙の本と比べて電子書籍が失っているものはたくさんあります。装丁や紙質、触れた感触など、作り手が読者に届けようと工夫を凝らしたものを全部削ぎ落とすのが本当に便利と言えるでしょうか。

 

ミシマ社代表の三島邦弘さんは「電子書籍は次元が下がっている」という面白い表現をされていました。紙の本という3次元のものを液晶画面という2次元の世界に閉じ込めるのですから、欠落する要素も少なくないわけです。それはちょうど、3次元の地球を2次元の世界地図で完璧に表現することが出来ないのと似ています。

 

3.本は体験を生み出す

僕の読書の中心は「問題解決のための読書」です。そこでは本を、日常抱えている問題を解決し自己成長するための手段として捉えています。重要なのは本という形にパッケージ化された情報の中身であり、紙で読むか電子書籍か、といったことは気に留めてきませんでした。

 

しかし本というモノと人が出会うとき、単なる情報の摂取にとどまらないユニークな体験が生まれます。本屋に足を運び、本棚の中で彷徨い、1冊と出会う。そしてその本の感触を身体で感じながら、一対一で向き合う。そうしたプロセス全体が読書体験なのだということを忘れていた自分に気づかされました。

 

 

 問題解決のための読書を否定するつもりはありませんし、今後のも僕の読み方の中心であり続けるでしょう。でもたまには、本屋さんで偶然の出会いを楽しんだり、好きな本を時間を忘れて読みふけったり、そんな贅沢な時間の使い方をしたいなーと思いました。

 

スロウな本屋は岡山にあるのでまた行ってみたいと思います。

 

こんな感じで学びをアウトプットしていこうというのがこのブログの趣旨になります。今後もよろしくお願いしますm(_ _)m